10月2日
昨夜の宿は、私なんぞには身分不相応にゴージャスな「Raddison Hotelin Bloomington」。
毎日違う町に移動する旅なので、こんなにもゴージャスすぎる部屋に実質数時間しか滞在できないことが無念の極み。
これが、今回の旅のなかで一番の、贅沢な悩みだ。
今朝も後ろ髪をひかれながらせっせとパッキングをすませ、バンに荷物を放り込んでミネアポリス市内へと出発。
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昨日見た源流のせせらぎとはまったく違った表情を見せるミシシッピ川。
もうこんな大きな流れになっていることに、一同密かに感動
ミネアポリスは、ミシシッピ川流域最初の大都市として栄えてきた町。
川を利用したカナダからの木材輸送や、小麦粉貿易がさかんで「全米の穀物倉庫」とも呼ばれ、今でもその当時の小麦倉庫が保存されている。
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昔の製粉工場は、火災・爆発を経たあともなおそのままの姿を残し、今は博物館(ミルシティ博物館)に再利用されている。
このような発想は日本ではまず見られない。(原爆ドームなどのメモリアル以外は)
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見学に訪れていた地元の中学生たち
その倉庫のすぐ横には、2006年オープンのダイナミックな「
ガスリー・シアター」がミシシッピ川に突き出すようにそびえ建つ。日本でも東京汐留の電通本社ビルなどを手がけた有名なフランス人建築家、ジャン・ヌーベルの設計による、演劇界でも権威のあるシアターだ。
ここでは新しい発想のオペラやミュージカルなどが毎日のように上映されている。
ユニークなのは、この劇場で上演する演目の小道具や衣装はすべてこの中で手作りされているということだ。つまり、文字通り“自作自演”。その道のプロが存在し、このシアターを職場として日夜仕事をしている。
また、不要になった衣装や靴などはバザーに出されたり、アマチュアの劇団に貸し出されたりしているという。
シアター内には自由に入れることができるので、したガラス張りの回廊「エンドレス・ブリッジ」からミシシッピを見下ろしながらゆっくりとランチを食べにやってきたり本を読んで日がな一日過ごす人も多いそうだ。
普段は敷居が高そうな劇場も、こうやって日常的に一般に開放することによってより親しみが湧くに違いない。
このような発想はぜひ見習いたいものだ。
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ガスリーシアター
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同じ風景も、ガスリーシアター内のセピア色のガラスを通すとこのようにレトロに見える。
ミシシッピの流れとともに街としての進化を刻んできた、古きアメリカと新しきアメリカが融合している町、ミネアポリス。
私はもちろん、かのプリンスの故郷ということだけでこの街にあこがれ続けてきたのだけれど、実際に足を運んでみてそれ以上に魅力的な街だった。
建築、アート、演劇、音楽、メジャーリーグなどのプロスポーツ、緑多き公園、水辺の散策路・・・とすべてにおいてトップレベルのものがコンパクトな町にまとまっているところなどは、シカゴに似ている。
惜しむらくはもっと時間があれば・・・(と、これはこれから毎日口にすることになるセリフ)
ただ、こうやって短い時間の中でも重要なポイントを見て回ることができたので、今度来るときには間違いなくこの経験が役に立つことだろう。
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全米でも最大規模の都市型彫刻庭園、ミネアポリス彫刻庭園。(Sclupture Garden)
名物、「チェリー・オン・ザ・スプーン」。
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ミネアポリスに住むこと20年超。ミネアポリス市観光協会国際関係部マネージャーの宮本さん。
とても魅力的な忘れがたい方だった。何と言ってもみんなの目をくぎ付けにしたのは、サソリの標本が入った超弩級リング。
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この方しかこれを着こなす人はいないだろう。
★★
わずか3時間余りでミネアポリスをあとにし、一行はブルーミントンの「モール・オブ・アメリカ」へ。
520もの店舗とレストラン、ホテル、映画館、水族館、そして屋内遊園地まで有する、アメリカ最大級のショッピングモールだ。
先日お隣さんがわざわざ車で5時間かけて行ってきたと自慢していたけれど、ショッピングならシカゴで十分なのにいったい何がそんなに魅力なの?と密かに思っていた。
しかし、今日その謎が解けた。
そう、ここではすべてが(一部宝石店や靴店を除く)免税なのだ。
大きな買い物をわんさかしてくる分には、飛行機代を払ってでも安くつく。そのうえ、エンターティメントも充実しているのでこの中だけで2〜3日は十分遊べる。もちろん家族連れにももってこいだ。
実際、シカゴから朝イチ、最終の飛行機で買い物ツアーに出かける人も多いそうだ。さすが、買い物好きのアメリカ人。
ここで私たちは2時間の自由時間をもらったものの、買い物にあまり執着のない私たちは結局何も買わずに待ち合わせ場所に舞い戻ってきたのであった・・・。
私はというと、せっかくいただいた水族館無料入場料と遊園地乗り物盛り放題券を利用して、遊びまくった。
(あとから他のライターさんに「ナガノさん、一人でジェットコースターに乗ってましたね」と冷静に言われて赤面)
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こんな遊園地まである
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レゴコーナーは子供たちに大人気
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全長5mはあろうかというこの巨大ロボットはすべてレゴでできている!
★ ★
午後3時。
いよいよウィスコンシン南下プロジェクト開始だ。
ブルーミントンに別れを告げ私たちが向かうのは、次なる町、Red Wing(レッド・ウィング)。
人口16,000人ほどの、ミシシッピ川沿岸の小さな田舎町だ。
Red Wingの名は、ここを統治していたネィティブアメリカンの酋長のニックネーム(彼がまとっていたwar bonnet:頭につけている羽根がたくさんついているあのかぶりもの)に由来するそうだ。
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高台から見下ろしたレッドウィングの町。
赤レンガの建物が立ち並ぶ様子は、小さなヨーロッパの町のよう。
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地元産業の陶器工場ではほのぼのとした手作りの陶器が即売されている。
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この街の名物は、世界にその名をとどろかせるアウトドア・シューズブランドの“Red Wing Shoes”。
これはその本社建物の中にある世界一大きな靴。牛8頭分の本革を使っている。
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案内をしてくださった、レッド・ウィング観光局のKathyさん。
その昔、うちの近所の町(イリノイ州 St. Charles)でバーテンダーをしていたことがあるそうで「そのときしこたまお金を稼いだのよ」と自慢してくれた。
「そのお金、どうやって使っていたの?」と聞くと
「シカゴへ行くと一晩でなくなっちゃうわよあなた、あったり前田のクラッカーよ、kidding me?」と豪快に笑われた。
「人と会うことが大好きだから、この仕事は天職みたいなもの」だそうだ。
そういえば、今回お会いした方々はみな、これが天職のような方々ばかりだった。
今夜の宿は、1875年開業というアメリカでも「もっとも歴史的なホテル」のひとつ
、“St. James Hotel”。
古くてとてもいいホテルなのだけれど、部屋に入った途端に鳥肌ゾゾー。しかも電気が急に点いたり消えたり。
ここは絶対に何かいると感じたので電気をつけて音楽流して眠りについた。
それもそのはず、ここには数々の幽霊伝説があるそうで、Kathyさんからも別れ際「クララ(亡くなったここの女主人)によろしくね」と言われた。勘弁してください。
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幽霊伝説が本になっていた(汗)
★本日の移動ルート