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Channel: Life in America ~JAPAN編
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シカゴが騒然となった、サンクスギビング。

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どうしてこんなことがそう頻繁に起こるのだろう。もう書くのも嫌になっていた。
でもこれが「日常」になってしまうことのほうがもっと恐ろしいので、書いておかなければならない。

シカゴは今、騒然としている。
エマニュエル市長のクビがかかるほどの、大スキャンダルが世間を大きく揺るがしている。

昨年10月20日、シカゴ南部で17歳の黒人少年ラクアン・マクドナルド(Laquan McDonald)が通報で駆け付けた白人警官に撃たれて死亡した。
アメリカでは、警官の制服に小型カメラが取り付けられ職務中の一部始終録画しなければならない決まりになっているのだが、この事件後、遺族側からの申し立てを受けて裁判所はこのビデオの提出を要求していた。
そして事件から1年以上も経った今、この時の映像が初めて公開された。
そこに写っていたのは、ナイフを持ってふらふらと道を歩いていたマクドナルドに、4人の警官が取り囲み、その中のひとりジェイソン・バンダイク(37)が無抵抗のマクドナルドに銃弾を浴びせている様子だった。
マクドナルドははじめの数発ですでに重傷を負い、地面に伏していた。そこにとどめを刺すかのように、その後10発以上の銃弾を浴びせて死なせた様子はまるで「殺しのリンチ」のようだった。

その映像が11月24日に公開されるや、市民の間で怒りが爆発してシカゴは騒然となった。
「自己防衛による職権の適用」という理屈は通用せず、バンダイクは殺人罪で起訴された。
しかし、昨今アメリカで続いている(実はもっと前から日常的に起こっていたのだろうが、ビデオが公開されるようになってやっとそれが明らかになった)この「白人警官による無抵抗黒人への差別的発砲事件」への抗議は日増しに膨れ上がっていった。
時まさにサンクスギビングのホリデーが始まろうという、一年で一番平穏で浮かれた時期。

サンクスギビング前日の25日には、ミシガン通りで大きなデモが発生。
翌26日は、ミシガン通りのショッピング街、マグニフィセントマイルで大きなデモ行進が行われ、デモ隊がセールで賑わう「ブラックフライデー」を目当ての買い物客をショップ前で締め出した。
大きな売り上げを見越していたショップ側もこれにはどうすることもできず、Apple Shopは混乱・暴動を恐れて商品を店頭から全て引き上げた。
結局、この「サンクスギビング・デモ」により、今年のブラックフライデーの売り上げは15%減となった。


(C) AP

事件の余波は続いている。
昨日はついに、シカゴ警察の責任者であるGarry McCarthy警視がこの「責任」をとって退任した。
市民からは警察の「隠ぺい」体質に対する責任を求めて、シカゴ市長のエマニュエルに対して退任を要求する声も高まっている。
この事件で起訴された警官ジェイソン・バンダイクには、過去にも市民から明らかな「職権乱用」に対する抗議が18件も寄せられていたが、警察はこれに適切な処分をくださず、彼を職務につかせ続けていた。

また、今回の“殺人”でシカゴ警察が遺族に支払う賠償金は5ミリオンドル(約6億円)。このお金はどこから出ているのかというと、我々市民からの血税だ。
警官が無実の市民を撃ち殺し、その賠償金を市民が払うとは、どう考えてもおかしいじゃないか。

さらに理解に苦しむのが、その大金を受けとって“口止め”をされていた家族だ。
うがった見方をすれば、極貧の黒人家族に急に6億円の金が入ったのだから大人しく言いなりになっていたという事か?
自分の息子が射殺されて、黙って6億もらってだんまりをしていた母親に対しても非難の声が起こり始めている。
最近明らかになったところでは、マクドナルド少年は、母親から見放され養子家族の家を転々としていたという。
何のために生まれてきたのだろうと思うと、胸が張り裂ける思いだ。



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